去年のことである。
緊急事態宣言が出ていて、店を開くことができなかった。
そんなある日、どうしても天然の鰻が食べたくなったので、荒川に釣りに行くことにした。
ポイントは戸田だ。
夕方から8時頃まででやっと1匹釣れた。
荒川のウナギなので、泥臭いかもしれない。
なのでお店の流しで3日間、水をチョロチョロと流しっぱなしにして、泥ぬきを試みる。
4日目に捌くことにした。
上記の写真にあるのは、ウナギ専用包丁、目打ち、大きなまな板。
鰻を捌くのは久しぶり。
タレも2リットル仕込んだ。
鰻の焼き方は、ざっくり言うと
- 背開きにして串を打つ
- 白焼きにする
- 蒸す
- タレをつけて焼く
という工程になる。
なのだが白焼きを焼いているときに、変な匂いがしてきた。
「ん」と思ったが、無視して、せいろで蒸してみた。
さらに変な匂いがしてきた。
それを無視して、タレをつけて仕上げ工程に入る。
タレの香ばしい香りがするはずなのに、タレに混じってやはり変な匂いがする。
ご飯に乗せて、鰻丼の出来上がり。
変な匂いがするが、とりあえず一口食べてみる。
胃袋に落とし込んだ瞬間に、「食べてはいけないもの」だとわかった。
この匂いの元は、様々な洗剤の味だった。
シャンプー、リンス、柔軟剤、食器用洗剤、などが混じったような匂いなのだ。
決して泥臭くはない。
その代わりの洗剤臭だった。
命をいただくつもりだったのだが、ウナギには申し訳ないが、完食することができなかった。
そして2リットルのタレも、匂いが染み付いて、他の料理にも使えなくなってしまった。
荒川のウナギは、もっと河口近くの方がいいのかもしれない。
機会があれば、別の川のうなぎにも挑戦したい。